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恩師・教員からのメッセージ

『コインの表裏 稔りの時期(とき)を迎えて』

清水 昌美先生

2014年10月10日、短大の医療秘書科7期生の同窓会に出席した。彼女たちは50歳、私は還暦を迎える年。皆、それなりの年輪を刻み熟女となっていて、魅力的であった。それなりの苦労を乗り越え、逞しさとともにしなやかさを身につけていた。

2015年1月2日、中学時代の学年同窓会に出席した。皆、還暦を迎え、様々な人生の足跡を残していた。当日は、連絡を取り合うこともなかった当時の親友にも会えた。しかも、近況報告でお互いに、同病(乳がん)であることが分った。

突然ではあるが、私は、今、乳腺甲状腺外科の病棟に入院していて、1週間前に右胸の全摘手術を受けたばかりである。昨年の健康診断で発覚し、精密検査によって悪性であることが分ったのは昨年末であった。あまりうろたえることもなく、淡々と事実を受け入れていた。2週間ばかりの入院となる予定であると告げられたので、後は、仕事の調整をするとともに後事を託す段取りを考えて、信頼できる同僚に依頼した。


上記は、少し小説風を気取って書いてみましたが、ここまでにします。


さて、還暦を迎えた昨年を振り返ってみると、公私共に忙しい1年でした。私は、川崎学園に就職して38年、その内の23年間は短大、15年を福祉大で過ごしています。現在は、福祉大の医療福祉経営学科に所属しています。秘書科卒業生の子供さんも何名か来て下さっていて、有難く思っております。しかし、当学科はこれからの時代のニーズに応える学科であると自負していますが、昨年度は定員を割ってしまいましたので、学科のメンバーが一丸となって、その対策(短期、中長期)に奔走している状態です。

私的な面では、娘が高校3年生で、長引く反抗期か自我確立期(?)にあって、現在はやっと回復の兆しが見えてきているといった状態に漕ぎつけています。このように、昨年は多忙なうえに私的には心配事が多くありました。私自身は、鈍感力もあり、精神的には強いと思っていますが、寄る歳なみには抗いようもなく肉体的にはストレスに負けてしまったのかな、なんて感じています。

ところで、入院中に、前述の親友がお見舞いというより「お茶」をしに来てくれました。積りに積もった苦労話を、泣いたり笑ったりしながら約5時間。そして、「お互いに楽天的な性格だから大丈夫」と太鼓判を押して帰っていきました。

さて、物事には「コインの表裏」のように両面性がありますので、今回の入院について、メリットを考えてみました。①患者体験ができる、②休養がとれる、③好きな本が読める、④家族にとって、私の存在の有難さが分かる(?)、といったことが挙げられます。

変な話ですが、今回の入院は、自分なりに誠実に勤めてきて、そのご褒美をいただいているように感じています。また、読書三昧できる環境なので、今、読みたいと思った本を読んでいると、ジグソーパズルのピースが埋まっていくような爽快感があり、元気とやる気がでてきます。これも地道に年輪を重ねてきて、「稔りの時期」を迎えられているからであり、若い時代に、皆さん方との出会い(縁)があって、充実した時期を過ごせたからであろうと感謝しています。

2015年2月3日
清水 昌美


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